RFPでの機能要件の作成方法

パッケージソフトとその導入パートナーの選定においては、まずパッケージソフトの情報収集を行い、次に導入パートナーの情報収集を行います。
このときにはRFIを作成して数社のパッケージベンダー、導入パートナーから情報を収集し、候補を2,3社に絞ります。
その後、候補とした導入パートナーに対して、費用見積もりも含めた提案を依頼します。このときにRFPを提示しますが、費用見積もりの提供を依頼するためには、新システムで想定する具体的な機能要件を提示することが必要です。

機能要件の作成に当たっては、まず自社の業務プロセスの概要を、エンドツーエンドのハイレベルな業務フローで記載します。
このフローが細かくなりすぎると全体の流れが伝わりにくくなりますので、10ステップ前後が妥当だと思います。
次にここであげた各プロセスについて、新システムで実現したい業務方式を、簡潔な図で記載します。
この例は、プロジェクト型の生産を行う工場での生産計画の立て方、受注との紐付け、原価管理などについて説明したものですが、このくらいのレベル感で、実現したい業務方式を記載します。

新システムで想定する業務方式の説明図が作成できたら、その図を参照しながら、新システムで必要となる機能要件をリストアップします。
この例ではプロジェクト生産に関する業務方式の説明図を参照して、生産管理に関する業務要件、原価管理に関する業務要件を、リストアップしています。

この機能要件はエクセルに記載し、その右側に列を追加して、導入するパッケージで対応できるかのFit/Gap、Gap、すなわちそのパッケージに機能がない場合の対応方針、その対応のための対応工数、を導入パートナーに回答していただきます。

機能要件の記載のポイントとしては、次のような点が挙げられます。
1.業務の流れに沿って記載します。
2.想定する業務方式の説明図と関連づけて記載します。
3.基本的な要件から詳細の要件の順に記載します。
4.自社の強みと思われる業務や要件は、漏らさずに記載します。
5.現在行っていない業務でも、新システムで実現したい業務があれば、それも含めて業務要件として記載します。
最近のパッケージ導入では、早期導入、低コスト導入の観点からパッケージが想定するプロセスや機能に業務を合わせる、フィットツースタンダードとよばれるアプローチが推奨されています。
採用するパッケージが決まった後であれば、フィットツースタンダードアプローチにおいては、機能要件の作成は不要だと思います。
しかしパッケージ選定や導入パートナー選定の段階では、自社の業務への適合性や、導入コストの評価を行うために、機能要件を提示して、導入パートナーに回答していただくことが必要です。

それではまとめに入ります。
RFPでの機能要件の作成においては、最初に自社の業務プロセスの概要を、エンドツーエンドのハイレベルな業務フローで記載します。
次に1の業務フローの各プロセスについて、新システムで実現したい業務方式を、パワーポイントで簡潔な説明図に記載します。
そして2の説明図を参照しながら、新システムで必要となる機能要件を、上流から下流の順に、また概要から詳細の順に、エクセルにリストアップします。
ここで自社の強みと思われる業務や要件は、漏らさずに記載します。
そしてFit to Standardアプローチを採用する場合でも、導入パートナー選定のためのRFPにおいては、評価の評価とコスト見積もりのために、機能要件を記載する必要があります。
